情報技術科
【SSH】海外研修2日目(ウレミステ地区)
エストニアは面積45,340 km²、人口約130万人の非常に小さな国です。
日本で例えると、およそ九州と沖縄県を合わせた国土に、さいたま市ぐらいの人口が住んでいる国と言えば、なんとなくイメージが湧くでしょうか。
最初に訪問したウレミステ地区は、いわゆるスマート・シティ。
様々な企業が立ち並び、IT先進国エストニアの中でも特にテクノロジーに深い関りをもつ場所で、この街のそのものが巨大な実証実験場となっています。
ここに、日本の市単位ほどのわずかな人口で、最大限の成果を挙げるための工夫が詰まっています。
まず、これは自動会計システムを導入した店舗です。商品を持ったままゲートを通過すると自動で精算がされます。もちろん無人です。
日本でよく見かけるコインパーキングのようなものは一切存在しません。
車を路上駐車してスマートフォンから申請をすると、自動的に駐車料金が精算されます。
ホテルで清掃が必要かどうかの意思表示も電子化されており、タップをして清掃が必要なことを示すとすぐに清掃員が来てくれます。
朝以外の時間にも対応を分散させることで、より少ない人数でサービスを行き渡らせることが可能になります。
日本のマイナンバーカード制度の参考になったe-IDカードと、その使用方法を現地の方から実演して頂きました。
日本ではなかなか普及と活用が進まない状況である一方で、本場のエストニアではこのカード(最近はスマートフォンに内蔵させる等、さらなる進化を遂げているようです)が1枚あれば、様々な情報にアクセスすることができ、それによって多大なメリットを享受することができます。
基本的な個人情報はもちろんのこと、いつどんな病院に通ったか、学歴と学校での成績はどうだったか、税をどのように納めているか、ありとあらゆるデータがそこには詰まっています。つまり、引っ越しや転職などで発生する煩わしい書類はほぼ全て必要なくなる訳です。セキュリティも万全なため、国民は安心して自らの情報を預けることができているそうです。
これにより、市役所には一切書類がなく、PCに向かって作業をしている所員の方がいるだけなんだとか。
(日本とは異なりそもそも市役所自体が人が来ない前提の場所になっているために、行くと「一体何をしに来たんだ?」と言われてしまうそうです。)
また、エストニアは国民一人あたりの起業率が圧倒的に高いことでも有名な国です。その理由も、街を見学することで垣間見えました。
エストニアには学生たちが自分たちが身に付けた開発技術で競い合い、その様子を放送する「RAKET69」という人気のテレビ番組があるようで、その撮影スタジオに入ることができました。ここで結果を出すことで、大学の奨学金をはじめとする支援を受けることができるようになるそうです。
また、街の至るところに会議スペースやコワーキングスペース(さまざまな年齢、職種、所属の人たちが空間を共有しながら仕事を行うスペースのこと)があり、そこでは若者達が夢に向かって努力する姿を見ることができました。参加メンバーからは「こんな風に働いてみたい」という声も上がり、良い刺激を受けたようです。
加えて、いわゆる産学連携の体制も充実しており、タリン工科大学と企業を結ぶ施設があり、企業と大学が共同で研究を行うためのスペースとして活用されていました(後日訪れたタルトゥ大学に至っては、オフィスとキャンパスが完全に融合していました)。
このように、技術者を育成する土壌を作りつつ、挑戦しようとする人間に対してバックアップを行う体制が整っている様子を見ることができました。
ウレミステ地区周辺での研修を通して最新の技術に触れられたのはもちろんのこと、とにかく失敗を恐れずまずはやってみよう、というエストニア人の国民性は是非見習うべきだと感じました。
最後に、タリンの旧市街から見える景色を。
手前の中世の街並みと、奥の先進的な建物が共存しており、この国を象徴するような風景でした。
【SSH】海外研修1日目(出発前~到着)
先日、約1週間に渡るエストニアでの海外研修が無事終了しました。
99%の手続き(結婚や不動産の売買以外の全て)が電子化されている世界最高のIT国家でありながら、中世の街並みを残すエストニア。
日本では決して知名度が高い国ではありませんが、1週間の滞在では足りないほど非常に興味深く、美しい国でした。
まずは出発前~到着(2日目朝)までの研修の様子を紹介します。
出発前は校長先生に参加メンバー4名が抱負を述べました。
全員海外自体が初経験かつ行先が極寒の北欧の地ということで、まずは体調を崩さずに1週間乗り切ること。
そして現地の方々との交流を積極的に行い、情報についての学びを深めたいということでした。
校長先生からは浜工生の代表として是非頑張ってきて欲しいとメッセージを頂きました。
そしていよいよ当日、浜松駅から羽田空港まで新幹線で行き、まずはフィンランドのヘルシンキへ。
ロシアの上空を旋回し、北極を通過して13時間のフライトになります。
そこから飛行機の乗り換えをし、目的地であるエストニアの首都タリンへ。
入国審査などなど含めておよそ24時間もの移動時間を費やし、やっとの思いで到着しましたが、時差が約7時間なので現地では朝8時。
そのままウレミステ地区での研修に入りました。
今回の研修の主な訪問先は
- ウレミステ地区
- Clevon社(Clevon Academy)
- タルトゥ大学
- ヤーン・ポスカ高校
- 在エストニア日本大使館
です。
また、この研修を通して世界最高のIT国家に触れながら、我々の最終目標である「日本のプログラミング教育を支援するアプリケーションの開発についての研究発表を行い、意見を頂くこと」が重要な目的となります。また、現地の公用語はエストニア語ですが、ほぼすべての人が英語を話せるため、現地でのコミュニケーションは基本英語。語学についても実際に異なる言語を使う貴重なチャンスです。
次は、2日目の様子をお届けします。
【SSH】渡航に向けた英会話指導
世界最高のIT国家・エストニアへの渡航まで残り4日。
本日は、夏季休暇に引き続き、英語科の桶田先生とALTのジョージ先生に英会話指導をして頂きました。
これまで英会話以外にも、各訪問先への依頼書を英語で作成する等の活動を行ってきました。
エストニアの公用語はエストニア語ですが、9割以上の方が英語で会話ができる国(高校段階で第3外国語まで学ぶそうです)。
渡航後、通訳の方が常に同行する訳ではないので、おのずと英語を使わざるを得ない場面が出てきます。
もちろん、訪問先での研究発表も英語なので、PowerPointの資料も英語版に。その指導もして頂きました。
英語も道具と同じで実際に使わないと身につきません。
そういった場面をしっかりと学びの場とする為にも、可能な限りの準備をして行きます。
【授業紹介】L3スイッチ実習 ネットワーク技術(3年・選択)
例年よりも時間数に余裕があったので、今年は毎年恒例のトラブルシューティング実習(→過去記事)が終わった後にL3スイッチ実習を行いました。
実は、生徒達がネットワーク技術の授業内でL3スイッチを扱うのは初めてのことです。
というのも、本授業では通信の仕組みを基礎から確実に理解するために、敢えて実社会で広く使われる通信技術(L3スイッチやWi-Fi等の無線通信)ではなく古典的な通信技術(リピータハブやL2スイッチ)を用いているからです。
今回は2台のL3スイッチを用いて、2台にまたがる3つのVLAN(仮想的なLAN)を構築し、各VLAN同士の通信とインターネット接続ができるように設定を行いました。
実際の現場を想定して、ネットワーク構成図を示した上で説明書を渡しただけで実習開始。DHCP、DNS、ルーティング、ポートVLAN、タグVLAN、様々な知識が求められますが、作業手順等は一切示さずに、今までに学んだ知識と説明書に書いていることだけで通信の実現を目指します。
さすがに今日の1時間だけでは終わらなかったので、木曜日の5・6限に持ち越し。
3年生最後のネットワーク技術の授業、社会に出てからも大丈夫だと自信をもつ為にも、居残りなしで清々しく終えたいところです。
【SSH】Shizuoka Tankyu Collection にてポスター発表を行いました
1/21(日)にグランヒルズ静岡で開催されたShizuoka Tankyu Colletcion(→公式サイト)。
高校生のための高校生による高校生のイベントということで、運営に多くの学生が関わり、各高校の特色を活かした様々な出し物(食品の販売やダンス・ファッションショー等)が行われました。
その中で行われた研究発表の部門で、本校のSSH海外研修班がポスター発表を行いました。今回は部活動の関係で2名での参加となりました。
開発中のアプリケーションをタブレットで例示する等、前回の静岡大学での発表よりも具体性をもって話をすることができました。
また、教員ではなく、一般の参加者の方からの質問に答える等、普段できない経験もでき良い勉強になりました。
世界最高のIT先進国・エストニアへの渡航まで残り2週間。
質疑応答の時間で深まった知見をもとに、準備を進めていきます。